上の空No.10(会誌2014) マルチメディア研究同好会

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2014年の会誌です。メディ研についてやゲームのこと、高専のこと、小説、その他サブカルや班のことなどについて語っています。 メディ研のサイトURL:http://cgt25.rosx.net/ 「高専 メディ研」で検索!

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  • 1. 上の空 う わ の そ ら Multimedia Research Club マルチメディア研究同好会 会誌(広報誌) オンライン発行版 No.
  • 2. MMRC 会誌 上の空 - 1 - 本冊子「会誌 上の空」について マルチメディア研究同好会における会誌とは、まんま会の発行する冊子、例えるなら広報誌のよう なもので、メディ研の活動について紹介したり、活動の過程や成果を報告したりその過程でできた作 品をまとめたものです。ただ近年会誌班の作品のみだったので今年はなるべく各班で協力して書い てもらうように努めました。 ぜひお楽しみいただけたらと思います。 目次 この冊子について p1. メディ研の簡単な紹介 p2-3. ゲーム/コンピューター班 製作日誌。 P4-5. TETRIS =impossible speed VS god player= p6-9. Web 班 p10. AV 班 p11. 文芸班 論文 ロリババァとは何か p12-13. 高専生活 p14-17. 小説 The living and immortal who live like the dead p18-29. 覚醒条件 p30-31. おもちゃ好きの学生の話 p32-33. ランドセル p34-36. 二日目 p37-40. no title p41-44. エピソード(メディ研) p45-46 今年の活動状況 p47-48. 会長の遺言(あとがき) p49
  • 3. MMRC 会誌 上の空 - 2 - メディ研についての簡単な紹介 マルチメディア研究同好会(通称メディ研)は、前身校の航空高専時代の 2005 年に発足しました。 今年で 10 年目になります。 メディ研全体の活動目的 マルチメディアに包括される様々なものについて研究を行い、それらの成果を会誌、高専祭やコン テストなどで内外に発表する。またそういったことを自発的にできるように努める。 活動形態について メディ研では多種多様な分野を広く扱うため、分野によってそれぞれの研究をまとめるべく幾つか の班が存在します。現在は5つの班がありますが、毎年増えたり統合したり、他のサークルとして独 立していったりと発展を遂げています。また、マルチメディアに含まれるような内容ならば、それらに 興味を持っている人を集めて新たにいままで無かった班を立ち上げることも可能です。また、自分で 興味のある分野を見つければ一人で研究しそれについて語ることも良いです。さらにそれとは別に会 計などの係が存在します。 会員数 現員数は 43 名(男子:36 名、女子:7 名) 今年は新入生が多く入ってきたので内1年が 18 名です。コースの隔てもなく、多くの学生が所属し ています。
  • 4. MMRC 会誌 上の空 - 3 - 活動日時・曜日 毎週火曜日(不定期)・木曜日放課後 三階・第4講義室(旧物理・化学実験講義室) ※活動場所は各班の活動内容により部屋を移動して行ったりしています。集合はここで行います。 各班の活動目的 ・文芸班(旧会誌班) マルチメディアに関する研究を論文形式でその成果をまとめ報告を行ったり、自ら創作した 小説などを高専祭や外部で発表する。 ・絵班 形態を選ばず様々な絵を作成し、それを発表して様々な評価から自らの力を磨いていく。 ・Web 班 サイトに限らず、新たなサービスや活用方法、ルールや倫理などインターネットに関する様々な研究 を行い技術、知見を得て発表する。 ・AV 班(Audio Visual 班) DTM や動画の制作など、Audio Visual に関する様々な研究を行い成果を報告する。 ・ゲーム/コンピューター班 ソフトウェアという枠にとらわれず、アナログ、デジタルを包括したゲームやコンピューターに関する 様々な研究を行い成果を出す。
  • 5. MMRC 会誌 上の空 - 4 - 製作日誌。 ゲーム/コンピューター班 けけもと(W4) 1. GEEK HOUSE 企画段階 毎回、ゲームを作ろうとしてバグや作業量で躓き挫折することが多い。 なので今回は規模の小さなゲームを作ろうとして出来たのが、「Geek House」です。 最初はただパズルゲームを作ろうとしただけですが、ギークハウスの依頼や、他の班と協力して製 作するといったことも巻き込んでの企画になりました。 ギークハウスというのは技術者のためのシェアハウスで全国にいくつかあるのですが、ここ南千住 にもひとつあります。そしてギークハウス南千住からギークハウスをもっと広めて欲しいという依頼をマ ルチメディア研究同好会にきたのですが、だいぶ前のお話でギークハウスの人も忘れているかもで す。この日誌を書いている時点ではゲームにギークハウスらしさを盛り込めていないのですが、大丈 夫なのだろうか? 他の班との協力というのは、メディ研にはゲーム/コンピューター班以外にも絵や、文芸、サイト、 音楽を作る班があります。それらはゲームを作るのにどれも欠かせない要素ですが、今まであまり班 同士の協力はありませんでした。そこで今回は絵、シナリオ、BGMをそれぞれの班の人に頼んでみま した。日誌を書いている時点ではシナリオと絵が全く進んでいないのですが、大丈夫なのだろうか? 製作段階 絵も音楽もシナリオもない、ゲームシステムだけのプログラムを一週間で作りました。 その後、夏休み期間を使ってインターネットからフリーの絵を拾ってきて、タイトル画面やリザルト画 面を作り、画面ごとの BGM やアクションごとの効果音を依頼し、最低限は見れるゲームにしました。 後はシナリオ画面を作るのみです。文化祭までにはシナリオ含めたゲームにしたいです。
  • 6. MMRC 会誌 上の空 - 5 - 2. みきさー 企画段階 インターネットラジオは知っていますか?そのままインターネットで放送されているラジオなのですが、 これはソフトとマイクさえあれば誰でも放送できるのです。そんな一般の人がやるラジオを聞いていて もっと効果音や BGM を簡単に再生できないかなぁと思い、製作しました。 イメージとしてはボタンが並んでいて、ボタンを押すと音楽が再生されるという。まんまですね。 製作段階 「みきさー」は一日でイメージ通りのものが出来ました。 その後、音楽が止まるとボタンが OFF 切り替わるといった些細な機能や、ループ再生の機能を付 けることでもう一日かかりました。コレで一応見れる形にはなったと思います。 現時点では個別に音量調節ができなかったり、曲の入れ替えが面倒であったり、処理が重いので すがこれらも改善していきたいです。 3. コメント 今年の夏は「class の使い方を勉強する」と「Android アプリを作る」という目標がありました。 実は日誌を書いているのが夏休みの最終日です。目標の達成度としては70%といったところでし ょうか?class の使い方は基本的な部分は勉強できたと思います。Android アプリは製作できません でしたが、製作するための下地は勉強できたと思います。今まで C++という言語を使っていたのです が、アプリを作るには java という言語が必要になります。その java を勉強することはできました。 「みきさー」を java と class を使ってプログラムすることができたのは大きな進歩ではないでしょう か? 改めて振り返ると、怠けた夏休みでもあったし、勤勉な夏休みでもあったように思えます。 ……さぁ、終わってない課題を終わらせないと。
  • 7. MMRC 会誌 上の空 - 6 - TETRIS =impossible speed VS god player= ゲーム/コンピューター班 班員 T2 1 ゲームの目的 上から落ちてくるブロックを操作して横1列に並べて消すゲームです。 一番上まで積もってしまうとゲームオーバーになります。 モードによって徐々に速くなっていく中どこまで消せるかを競うモードととにかく早く消すモードがありま す。 2 操作方法 左:ブロックを左に動かす 右:ブロックを右に動かす 上:ブロックをハードドロップ(その場で真下に落とし固定)する 下:ブロックをソフトドロップ(落下速度を早める)する Z:左回転 X:右回転 左シフト:ホールド R:リセット Esc:終了 3 ゲームルール ブロックを動かしたり回転したりしてブロックを横一列に並べると消えます。 出現位置にブロックが重なってしまうとゲームオーバーとなります。 ・レベル 上がれば上がるほど落下速度、固定されてからブロック出現するまでの時間、ブロックが消える時間、 遊び時間、移動キーを押し続けてから高速移動するまでの時間が速く、短くなります。タイムアタック では指定されたレベルで一定ラインを消します。 ・20G レベル12以上で適用されます。 ブロックが一瞬で地面に着地するようになります。 このゲーム最大の特徴であり、最大の敵です。慣れましょう。
  • 8. MMRC 会誌 上の空 - 7 - ちなみにレベルはさらに上がります。 ・遊び時間 ブロックが地面に接触しても動かせる時間です。20Gの時はこれだけでブロックを動かしていくことにな ります。が、レベルが上がるとこれも短くなっていきます。 ・ホールド 今落ちているブロックを一度ホールド枠に取っとける機能です。 一度使うとブロックを一つ固定するまで使えなくなります。一度使うとやめられなくなるやつです。 ・Initial Rotation System ブロックが画面に出現する瞬間に回転ボタンを押し続けていることで、あらかじめ回転されている状態 にすることができる機能です。 レベルが上がると必須テクニックになります。略してIRSって呼ぶらしい。 ・Initial Move System ブロックが画面に出現する瞬間に移動ボタンを押し続けていることで、出現時に移動キーが押し続け られていた挙動をする機能です。 使いどころを間違えると吹っ飛びます。なぜかこれはIMSって言われない。なぜだ ・ゴースト(落下位置表示) ブロックをそのまま下に落としたときの位置を影で知らせてくれる機能です。 序盤は結構助かります。が徐々に表示される時間が短くなっていき、20Gになると存在自体自然消 滅してしまいます。ゴーストだけに影が薄い... ・Initial Hold System ブロックが画面に出現する瞬間にホールドボタンを押し続けてると、出てくるブロックが即座にホールド され、ホールドされてたブロックが出てくる機能です。 あんまりいらないように見えて結構使うんです。 でもこれはIHSって言うらしい。不思議。 4 モード 今回モードは4つ+1あります。 ・レベルチャレンジ 徐々に速くなっていく中どこまでいけるか競うモードです。 10ライン消すたびにレベルが1上がります。 このモードのみランク付けされます。 goldS++ < goldS+ < goldS < goldA+ < goldA < silverA < silverB+ < silverB < silverC+ < silverC < bronzeD < bronzeE silverまではレベル、スコアどちらかでランクアップしますが goldからはレベル、スコア共に条件を満たさないといけません。
  • 9. MMRC 会誌 上の空 - 8 - ・タイムアタック レベル1のスピードで40ライン消すまでのタイムを競うモードです。 レベルは上がりませんが消去スピードも変わらないので1つのミスが命取りとなります。 ・Sタイムアタック レベル15のスピードで100ライン消すまでのタイムを競うモードです。 かなり早いので集中しましょう。気を抜くと一瞬で積みあがります。 ・TETRIS BATTLE 敵と戦うモード・・・のはずですがまだ未完成です。 一応プレーは出来ます。 ラインを消して敵に攻撃します。敵の攻撃もあるので適応しましょう。 ・??? レベルチャレンジでgoldAランク取るとモード開放の隠しコマンドのヒントが、A+以上で分かりやすいヒ ントが、S++で隠しコマンドが表示されます。 5 テトリス分かる人への雑談 このテトリス、実はインフィルニティシステムがありません。1段以上落下させないと遊び時間がリセット されないのでテトリスDSとかで慣れていてもあまり上手く出来ないと思います。ヌルゲーと言われたく ないので 自分はゴールドランクいけません。ごめんなさい レベルは40までありますがたぶんそこまでいける人は一人もいないでしょう TGMに似ている?なんのことでしょう... 最近テトリスのゲームが出てない気がしたので作ったものの本家の方がやっぱり楽しい 一番苦労したところは回転法則です。でもまだ不十分だから悲しい Tスピントリプル搭載したのにボーナス付けれなかったから使われなさそう 最近のテトリスって4段消しよりTスピンの方が強いのね...納得いかない ソーシャルゲームにもあるらしい→テトリスモンスター 割とテトリスしてて少しおすすめ。でもガチャはやっぱり納得いかない ブロックの出現率を同じにするのが地味に難しかった はじめの1ブロックはかならずT字ブロックになります。手抜きではありません。たぶん。 さいきんユーロビートにはまってて作ろうとしたけど音作り出来なくて諦めた しかたなくハッピーハードコア作ろうとしたけどメロディ思い浮かばなくて挫折 TETRISBATTLEの敵の画像は全て15秒以内に描いたもの...てか描けません... ちなみに自分の最高記録 ・レベルチャレンジ レベル21、ランクsilverA
  • 10. MMRC 会誌 上の空 - 9 - ・タイムアタック 1分17秒21 ・Sタイムアタック 2分16秒21 ・TGM3(TI) ランクM4(暫定段位) てきとーにランク条件設定したらゴールドすら取れないのです。でもきっと誰かがやってくれるはず...
  • 11. MMRC 会誌 上の空 - 10 - Web 班の報告 tnsm 氏(W4) Web 班について 昨年ゲーム/コンピューター班のサイトを作ったのですが、それをメディ研のサイトに枠を広げ、さ らにインターネットというものを扱うにあたって専門の部門として新たに Web 班を発足させました。 Web 班は主にサイトの制作管理をしています。サイトのデザインを考えたり、サイトを構築する上で効 率の良さを求めて研究を行っています。サイトを運営するのはページが多いほど大変で、より楽に管 理できるようにする仕組みを考えたり、探して見つけて学んだりしてスキルアップをしてます。 また、サイト制作に限らず、ネット倫理のことやネットを如何に活用するかやサイトにどのような機能 を与えれば、どのようなサービスをすれば便利かなども考えたりしています。 ウェブサイト 前述の通り元々は活動を広く色んな人に知ってもらうべく何の知識も無い現会長が作ったサイトで 当時はメディ研のサイトではなくゲーム班(当時)のサイトでした。作った当初はとても簡素なページで 技術力・センスの欠片も感じられないようなサイトでその存在もほとんど知られていませんでした。何 より一人で作っていたので結構大変でした。しかし、今年に入り私が会長になる時に、メディ研のサイ トが欲しいという意見と今後のメディ研の活動をネットで公開できるということでメディ研全体のサイト にするとともに新たに班としても独立させました。 メディ研のサイトではメディ研の紹介やメディ研の作品、研究成果の紹介を行っています。また、 ゲーム/コンピューター班の作成したプログラミングの解説書も載っていてメディ研以外の人でも参 照することができます。また、サイトのデザインなどは全てテンプレートではなく自前で作っています。 まだまだ、コンテンツは少ないですが、今後も少しずつ増やしていく予定なので、皆さん是非訪れて みてください。 「高専 メディ研」で検索!! http://cgt25.rosx.net/
  • 12. MMRC 会誌 上の空 - 11 - AV 班について はじめまして、オーディオビジュアル班(通称 AV 班)の班長です。 今回は AV 班の紹介ということで、少しページを分けてもらいました。 AV 班は今年新設された班で、現在は私を含めた 4 年生 2 人が指揮を執り活動しており ます。 まだまだ新しい班ということで、展示のほうも皆無に等しいのですが、これからの活動 にどうぞご期待ください。 具体的に何をやっているのか、ここで少しお話させてもらいたいと思います。 まずオーディオ分野では、オリジナルミュージックの作成をメインに行っています。 ゲーム班などと協力して、将来的にはゲームミュージックの作成なども行っていきたい と考えております。 次にビジュアル分野の紹介を。 ビジュアル分野では、オーディオ分野のほうで作成したミュージックにプロモーション ムービーを付けたり、写真部と連携をとって映像撮影・投影を行ったりしております。 中学校在学中の方で AV 班に興味を持たれた方は、是非ともこの産業技術高専に進学し、 メディ研に入会してください。その時は心から歓迎いたします。 最後になりましたが、この様な怪しい冊子を手に取り、ここまで読み進めてくださった 皆様にお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。 乱文失礼いたしました。このメディ研と AV 班を、今後ともよろしくお願い致します。 マルチメディア研究同好会 オーディオビジュアル班 班長 T4
  • 13. MMRC 会誌 上の空 - 12 - ロリババァとは何か PN 方野 崇吾 萌え要素、というものがある。よく知られているもので言えば、“ツンデレ”、“幼馴染”、“妹”、“メガ ネ”など、その種類はさまざまである。勿論、人それぞれ好みがあり、一見ではどのような性格・容姿 などの萌えを表しているのかわからないようなものもある。私自身、“素直クール”や“メガネ”“幼馴 染”などは好みである。 今回は、その中でもコアな人気でありながら創作上では広く用いられる“ロリババァ”という属性につ いて書いていきたいと思う。 ロリババァ、という字面から何が想像できるだろうか。安直に考えれば、ロリ+ババァである。 実は、それが正解だ。ロリ+ババァで、ロリババァなのだ。もっと詳しく言えば、こうだ。「ロリ(幼女・少 女)な愛らしい外見に、ババァ(長寿者)の精神を持つ者」ということだ。簡単に言ってしまうと、「見た 目は子供、頭脳は大人」…という某名探偵のキメ台詞のようなものである。 見た目に関しては、名が体を表すように、幼女あるいは幼い少女の見た目であればよい。この外 見が幼女・少女でないのであれば、ロリババァの範疇には含まれない。 そして、精神面である。ここが難しいところで、まず「設定上年齢が高い」というだけで、メンタルま で幼女というのはロリババァではないのだ。その精神に、数十年、百数十年、数百年と生きたような 特徴や知恵、経験などが息づいていなければロリ“ババァ”足り得ないのである。(と、私は思う) 例を挙げよう。 外見もロリ・精神もロリ(でもウン百歳)というのを長寿ロリ、外見はロリ・精神はババァ(そしてウン百歳) というのをロリババァとする。 この場合、東方 project に出てくる妖怪のキャラとかはたいてい前者にカテゴライズされることが多 いと思う。セーラームーンのちびうさなんかも、大別するとこちらに入るだろう。 対して後者は、物語シリーズの忍野忍(キスショット・以下略・以下略)や BLAZBLUE のレイチェル などがこれにあたるだろう。 イメージとして、だいたいこのような違いがあるとご理解いただきたい。
  • 14. MMRC 会誌 上の空 - 13 - このように、ロリババァというのは相反する二つの属性を兼ね備えた萌え属性の一つなのである。 相反する二つの属性、というところで、こう思う人もいるかもしれない。 「ああ、ギャップ萌えに近いものがあるじゃないか」と。 実際そうである、と私は思う。愛らしい外見、そこから飛び出す長寿者の所作や言葉、あるいは知 恵や知識……そう、ロリババァというのはギャップ萌えを内包する萌え要素なのである。 更に、外見と内面のギャップもさることながら、内面に反して外見年齢相応の趣味や好みを持っ ていると、また新たなるギャップ萌えが入るのである。一粒で二度も三度もおいしい。それは大きな 魅力となっているのだ。(と、私は思う) まとめると、「幼い外見+ものすごい年齢+その年齢を匂わせる言動や所作=ロリババァ」である。 拙作の The living and immortal who live like the dead にもロリババァを出しているので、ロリババァ 像の例の一つとして見ていただけると幸いである。 これを見てロリババァに興味を持っていただけたなら、インターネットの表層で、深淵で、好みのロリ ババァ像を見つけてほしい。好みのロリババァは人によって千差万別。ぜひとも、あなただけのロリバ バァを見つけ、安住の地としてほしい。
  • 15. MMRC 会誌 上の空 - 14 - 高専生活 H24 年度会長 (T5) 思えば高専生活も長くなって、終には卒業も近くなり始めている。技術の教科が得意で好きだった 中学生時代に、こんな学校を知ってしまったのが運の尽きだったなぁ……と、今では思う。そこから ただ産技高専だけを見て受験を過ごしてきた。文化祭ではメディ研を見て、より一層この学校に入ろ うと強く思ったものである。 そう、私はこのメディ研というものに対して、割かし強い思いを持っていたと思う。今でも。まずは振 り返るにあたってメディ研について語っていこうと思う。 (この文章では、メディ研で過ごしてきた数年間と、今まで過ごしてきた高専生活について書こうと 思います。「お前の回想なんか興味ねーよ!高専について教えろ!!」って場合は次のページまで 読み飛ばして OK です) 高専に入った直後、私はすぐさまメディ研への入部を決めた。そのころの自分を取り戻したいくらい には、クリエイティブなことに意欲的で積極的だった。 メディ研の伝統というのか、日を追うごとに新入部員はどんどん減っていった。文化祭直前には、 残っている同期は 20 名近くから 4・5 人程度にまで減っていた…はずである。であるから、部内でし ゃべったり遊びをするのはたいてい先輩を交えていた。 進級してからもその感じは続いた。いや、続いていたとしても未だに部に残って活動してくれる後輩 たちを見るととても喜ばしいのだが、やはりその悪習に近いであろう部員の大幅減少というのは、どうし ても避けたかった。部長になった暁には、システムを大きく変えてみようと思った。 なぜ人が減っていくのか。それは日々の活動にあるのだと思った。というのも、普段は活動場所に 集まって駄弁ることが主で、いや、それを否定するわけではない。私はそれが好きだったが、部活・ 同好会という組織として、流石に刺激が少なすぎるな、と思ったのだ。そこで、隔週程度で課題を出 すことを考えた。一定のテーマに沿ったイラストや文章。あるいは進捗の報告などを課してみた。 提出率については芳しくはなかったが、文化祭での展示では日々の活動と称して1コーナー設け ることもできた。
  • 16. MMRC 会誌 上の空 - 15 - また、連絡体制を強化して、新しくメディ研としてのメールアドレスなどを作って、情報・連絡事項 の配信をスムーズにし、その代わりに役職を少し分散させることで、各班長の負荷の軽減も試みた。 また、Twitter などの SNS で、日々の活動やメディ研の絡むイベントごとの広報活動も行った。 私が会長であった 3 年時にできたことはそんなに多くはなく、成功したものなんて広報くらいなのだ が、次年度以降への基盤を作ることに終始しようとした頃からは、下地として体制を整えていった。 そういえば、私財を使って備品を増やしたりもしたな。 その後、会長職を引き継いでからは前任者と平部員として後方から細々と活動している。この文 章もその一端だろうか。 思えば、「自分はちゃんと後輩にメディ研の活動の楽しさを伝えられただろうか」とか、「何かいいシ ステムを残すことはできただろうか」「これから来る新入生に、私のように『この部活入りたい』と思わ せることはできただろうか」と、思ってばかりであった。 だが、少なくとも自分が今までメディ研でやってきたことに関しては、後悔はそれほどない。欲を言 えば、「数年後に文化祭を覗きに来た時にも存続していてほしいな」ということくらいである。みんな頑 張って(丸投げ) メディ研の話もこれくらいにして、この冊子を手に取っていただいた未来の新入生に向けた話、高 専生活というものについて書いていきたいと思う。 まずこの学校は、1 年の時は全員共通の授業で進行していく。この時にはまだ、科が分けられるこ とはない。それもそのはず。この学校は単科高専なのだ。 ものづくり工学科。この学校の学生は皆この科に所属している(専攻科は例外)。1 年の間は、モノ づくりの基礎を学び、その中で自分が学びたい方向に向かって、荒川・品川の 2 校 8 コースの中から、 それぞれのコースを選ぶのだ。 構内での学生向けの説明の受け売りだが、「品川は基本となるものをガッツリやっていく。つぶしが 効きやすい。対して荒川は、応用分野というか特定ジャンルというか、つぶしが効きやすくはない」と 言われる。それもそうだろう。荒川には“航空宇宙”とか“医療福祉工学”なんていうコースがある。情 報系のコースですら“情報通信”と、純粋に情報系・通信・電気電子系ではない。ロボット工学コース ですら複合的なコースだ。 まぁ、とはいって、どんなコースであれ基本はしっかり押さえるし、そこからどの方向に細分化する かの違いでしかない。皆さんはしっかり下調べをして自分の進む道を選んでください。後悔のないよう にね。
  • 17. MMRC 会誌 上の空 - 16 - 話を戻す。1年の間は、全クラス共通の授業で進み、また高専という特殊な学校であるためか、イ ベントごとや日々の生活が実に輝いて見える。これはマジだ。毎日が異常に楽しい。また、1 年の内 は割と授業がスカスカなので、かなり早い時間に帰れる。私は家がそれなりに近所だったので、毎日 大体 15 時より前には帰れていた。そうやって楽しく過ごして、レポート、実習、追試、文化祭(どれも なぜか楽しい)などと経験していくうちに、2 年になってコースが分けられる。コース分けはだいたい自 分の行きたいコースに行けると思ってもらって構わない。 そして2年。コースが設定され、クラスの顔ぶれも大きく変わる。人によってはなじむのに苦労する かもしれないが、高専生は同族にフレンドリーな人間が多いので大半のオタクっぽい諸兄にはあまり 関係がないかもしれない。とまぁ、1 年で環境を大きく変えられた後は、ほとんど顔ぶれは変わらな い。たまに留年生が出たり入ったりして変わることもあるが…まぁ、基本的には 2 年からはクラスメイト はほぼ固定である。 そこからは、各コースの特色あふれる、1 年の時よりもさらに濃縮されたキャラの教員や授業と 4 年間おつきあいしていく。学年が上がるごとに、部活や委員会での立場や責任も増えるし、また技術 的にも伸びていき、自分のできることが増えて世界が広がっていく。 (勿論のこと、自分から技術を身に着けていく姿勢が大事なのは言うまでもない) 授業や普段の生活に関しては、趣味を同じくする友人たちと楽しく過ごしたり、授業中にゲームを して取り上げられたり、教員と楽しく喋ったり、あるいは学食のメニューを楽しんだり、変わったところで は、季節ごとに変わる自販機のラインナップを楽しむなんてのもある。授業の難易度とか定期試験 は別として、毎日は割と楽しいはずだ。(はずなのだ) 対して、イベントごとに関してはそもそも開催されるものが少ない。一貫して、文化祭+体育祭(とい う名目のほぼ球技大会)+卒業式入学式といった程度だ。一部工場見学などもあるが、大きなイベ ントと言えるのは4年での宿泊込の工場見学(ほぼ観光旅行)だろう。まぁ、少ないからこそ全力で楽 しめるという節もあるだろう。 体育祭と言えば、学生の間では秋葉原に行く日とかゲーム大会の日とも一部では言われていて、 気づくと何人かいなくなっていることもしばしば。である。それもいい思い出となる…はず。 そうやって日々を楽しく過ごしているうちに 5 年になってしまう。時間はあっという間なので、これか ら高専に入ろうという皆さんには日々を大事にして過ごしていってもらいたいなぁと、これから卒業し ていく者として思います。5 年間なんてあっという間です。後悔無く過ごせとは言いませんが、後悔し たとしても「まぁ、いいか」と思えるように、高専ライフをエンジョイしてもらいたいなぁと思います。
  • 18. MMRC 会誌 上の空 - 17 - 何かこう、書こうと思ったことも上手くまとまり切らなくて、あまりうまくは伝えられませんでしたが、 「高専は楽しいところ」です。私が言いたいのはここです。目標を見失わずに過ごしていれば、きっと 楽しい日々が待っていることでしょう。
  • 19. MMRC 会誌 上の空 - 18 - The living and immortal who live like the dead PN 方野 崇吾 青空にはぽつぽつと千切れた雲が配され、どこからとなく蝉の音が聞こえてくる、ある種爽やかな 夏の事である。 いくら休暇中とは言え、15 時ともなれば起床には遅すぎるくらいであり、のっそりと布団から身を這 い出し、文机に置かれたパソコンの電源を入れる。 『不老不死。人類が追い求めてやまないものの一つである。あり得ないからこそ追い求めるに足る価 値がある。だが――』 と、僕がワープロソフトに向けて文筆に勤しんでいると、部屋の障子戸が開く。 「起きているなら手伝わんか」 敷居の向こうで仁王立ちを決めているのは――眼鏡をかけ、和服を着、白髪を後ろで二つに括っ ている少女。外見上の年齢は、多く見積もっても中学生ほどの――この建物、“書庫”の家主であ る。 不死者であり、御年 350 歳。美少女と言える外見、元々の頭の切れに加え、年齢に裏付けられ た知識と智慧の数々と、ある種の理想を凝縮したような御方だが、しかしてそのためか、僕が知りえ ない謎も多い。彼女自身、“京 きょう 島 じ ま 曳 え い ”と名乗っているが、さてこれも本名かと言われれば、僕はどこ となく信用しづらいのである。 「今さっき起きたばかりです…見てくださいこの寝癖。今なら後頭部の寝ぐせも付けてお値段なんと 一万」「馬鹿なことを言っておらんで、顔でも洗ってくるんじゃな」 不死者、というものがこの世には存在している。読んで字の如く、死なないのだ。日本国内だけで も 1000 人ほどは存在しているとされ、それらは主に山深く、森深く、海底…は流石に無いが、人里 から隠れて小規模なコミュニティで過ごしている…らしい。という情報は家主の受け売りだ。 その不死者の下、なぜ僕がこのような生活をしているのかと言えば、ひとえに『完全なる不老不死」 の探求の為である。勿論。 僕自身、普通の人間とは違うらしく、不死者の間では「半不死」だとか「ほぼ逝きかけてる」とかそ んな感じに言われる存在らしい。それとて、少なくとも外傷で死ぬことはないのだが。 そんな半不死者の僕を、いわゆる“不死者”に格上げするために、不死者たちが、それこそ有り余 る時間を有効に使い長い時間をかけて編纂した「不死化の方法・不老長寿の法」などのデータが蓄 積されているこの場所、“書庫”と呼ばれる施設で、家主、つまりこの施設とデータの管理人である少 女(?)の下で、不死の法を試す毎日を送っている。 と、これらが自分がこの施設に来てから半年間で得た知識、もとい家主の受け売りである。そんなこ とを思い返しながら、顔を洗って部屋へと戻る
  • 20. MMRC 会誌 上の空 - 19 - 「顔を洗って出直してきまし…着替えたんですか」「あぁ、まあの」 いつの間にか、着物を着た少女はセーラー服の少女へと変わっていた。 和服と洋服では、やはり受ける印象も違う。今受ける印象を端的に、それも俗っぽく言ってしまえば、 少女的で可愛い、といったところか。しかし、それとて、ひとたび口を開けば覆る印象なのだが。 「セーラー服、気に入ってるんですか?」 「まぁまぁじゃな。それに、この格好なら外に出たとて違和感も少なかろう」 「…管理者なのに外出してて大丈夫なんですかね」 「なぁに、儂は強いからの。少なくとも死にはせんのだから、何が起こっても問題なかろう?」 「一理あるような無いような…」 「そんなことよりも、ほれ、おぬしも着替えろ」 「あ、今日って実験の日でしたっけ…?」 「言っとらんかったか?」 「まぁどうせ暇なので言うも言わないも関係ないですけどね」「まったくじゃな」 この施設には今のところ僕と家主しかいない 「で、今日は何を?霊薬の類だと楽でいいんですけどね」 「クスリは材料の調達がちと面倒での。残念ながら儀式の方じゃ。」 「げ、それ成功したかどうかの確認が痛いから嫌なんですよね」 「諦めるんじゃな。そのうち慣れる」 などと雑談をしながら着替え、地下にある広大な実験場へと向かう。 不死になる方法にも色々あるようで、魔法じみた儀式(西洋・東洋魔術、黒魔術、風水、枚挙に 暇がない)や、いわゆる霊薬と呼ばれるものや人魚の肉などの経口摂取、はたまた人体改造手術や ウィルス感染などの近代的な方法など、その種類は多岐にわたる。実験場では、主に儀式系統の 方法を試している 「さて、それじゃあ始めるかの。まぁ成功するとも限らぬ。気楽にいくぞ」 「実験後に外傷で殺されると思うと気が重いんですが…」 「これで不死になれば結果オーライじゃよ」 「だといいんですがね…」 そして僕は魔法陣の中心に移動し、あとは儀式が終わるのを待つばかりである。陣の外では何や ら詠んだり、物を放り投げたりしているのだが、この時間が意外と暇で、できることならゲーム機を持ち 込んで狩猟に興じたいところであるが、基本的には今日のようにあまり姿勢を崩せないため、脳内で 一人しりとりや妄想に励んでいることしかできない と、脳内でモノローグを垂れ流しているうちに儀式が終わる。
  • 21. MMRC 会誌 上の空 - 20 - 「さて、僕は不死になれましたかね」と、苦笑いしながら尋ねると 「さぁの」とだけ言って、微笑む彼女に日本刀を突き刺され、そのまま倒された 胸に感じる痛みと、流れ出る血の温もりを感じながら、だんだんと闇に呑まれていく意識の中、今 回も失敗だったのだと悟れた その日の夜、テレビから流れる騒がしい効果音で目が覚めた。 「今回もダメでしたね」 「人によって合う・合わないとあるからの。不死の法に無駄に種類が多いのはそのせいじゃ」 「それにしても、僕がここに来てからかれこれ半年ですよ。成功とは行かなくても、せめてどの方向性 の方法が合ってそうかぐらいは…」 「下準備に時間がかかるのもあるでな、すまんが気長に待ってくれ」「ウィッス」 「さて、夕餉とするか。たまには外に、どうじゃ?」 そう言うと、彼女は部屋の戸を親指で指し、外に出ることを暗に促している。人の金で飯が食えると なるのなら、それはたとえ暇人ヒキニート予備軍であったとて、やぶさかではないのだ。 「僕ラーメンが食べたいです。二郎みたいな」 「何をいっとるんじゃ酒ぐらい飲ませんか」 「どのみち奢ってくださいね」 そして、僕らの愉快な一日は今日も過ぎ行くのだった 続く
  • 22. MMRC 会誌 上の空 - 21 - 二話目 白んだ空が、朱、紫、碧、黒と、明ける夜を迎えるグラデーションを作りだす。夏の盛りとは言え、こ の時間に半袖は些か肌寒い。 休暇中にしては珍しくも夜明けの時間に目を覚ます。これが意味することは何か、つまり、今日は 休暇にして休暇に非ず、ということだ。 シュラフからもぞもぞと這い出で、羽化する蝶の気分を味わっていると、テントの入り口が開く。 「流石に起きとるな」「休暇…ってほど暇じゃあありませんから。年寄りは早起きで良いですね」「は は、言いよる。おぬしの朝食は抜きじゃな」「ネタニマジレスカッコワルイ…」 そう他愛もない言葉を 2・3 交わしつつ、僕らは山の中で朝食の支度を始めた。 書庫管理人、もとい、京島が作る、食パン 1/4 サイズのサンドイッチを、僕はアルミホイルで包み、 さらに牛乳パックにそれを詰めていく。面白いことに、このサイズだとサンドイッチの塊がスポスポとパ ックに入っていく。 そうやって、いくつかのサンドイッチ装填済みパックを作り終えたころ。荷物から取り出しておいたコ ンクリートブロックに、京島がパックを立てかけていく。 「さて、これで準備完了じゃな」「はぁ、いったいこれは何の儀式なんですか?」 「たわけ。儀式なわけがあるか」 「冗談冗談…とはいえ、これってサンドイッチをそのまま食べるわけにはいかなかったんですね」 まぁ見ておれ。そう言うと、京島が何やらぶつぶつと呟きはじめる。 「魔法でも使うつもりですか?」と、僕が冗談を重ねていく。するとどうだろうか。パックの下端には ひとりでに火がともり、少しばかりの煙とともに燃え始める。 「そうじゃが?」と、京島はしたり顔でそう言った。 「極まった年寄りってすごい…」 「このまま、外側の部分が全部燃えるまでしばし待つんじゃ。そうすると、そう。いわゆるホットサンド というものの出来上がりというわけじゃの」 「…やはり亀の甲よりってやつですね」「いやぁ、実は昨日ググって知った」 「左様で…」 正直に申告してくれるのは嬉しいが、何となく夢を壊された気分だ。そんな気持ちを味わいながら 待ち……待つというほどではない時間経過ののち、十分加熱されたホイルの塊がその場に残され た。 「さて、食べるぞ」
  • 23. MMRC 会誌 上の空 - 22 - 心なしかウキウキしているようにも見える。僕も、きっとこの人の外見年齢と同じ年齢だったら、素 直に喜んでいただろうか。そう思いながら、近くにある包みを一つ手に取り、開く。まだ肌寒い周囲の 気温にはありがたい暖かさだ。 齧り付いたパンが、断面から零れるやわらかにとろけたチーズや、そして口の中に広がってゆく加 熱されたハム特有の薫りとともに、僕の空腹を満たしていく。乳製品と薫肉をパンにはさみ、そして加 熱する。こんなシンプルな工程で朝食が彩られると思うと、人間の幸福というのは存外単純なところ に存在するのでは、という錯覚に陥ってしまいそうだ。 余談だが、京島はチーズで舌をやけどしていた 陽も少しのぼり、起きた時よりはいくらか暖かさを感じられるようになった頃に、僕らは荷物をまとめ て目的地へと向かう。 今回の目的地は『迷い家』と呼ばれる、要するに不死者の隠れ里…という場所らしい。らしい、と いうのも、その場所の入り口が、今僕たちのいる山中の、ある特定の場所にしか出ない。という理由 からだ。その場所は常に秘匿されているため、一部の者にしかわからないようになっている…と説明 を受けたが、僕の頭ではいまいち理解ができなかった。その『理解ができない』というのも、秘匿の技 術の一端らしい。 要するに、僕にとっては『すべてが伝聞で構成された、未知の何かを探している』といった程度の ものでしかないのだ。 もっとも、これも不死の法のための必要業務なのだから。そう割り切って、僕はただ、ただ黙々と少 女の姿を追っていく。 そうして、いったいどれほど歩いただろうか。この小さな山の、その広さ以上の距離を踏破している、 そんな気がする。もっとも、これは山歩きに慣れていない、いち都会人の感想だが… そうしていると、前を歩く京島の足が止まる 「ここ…かな」 そう言って京島が足を止めたのは、清水の流れる小さな川の傍であった。 「…川の中ですか?」と、半ば息を切らせ、服の袖で汗をぬぐいながら僕は言った。 呆れた声が「今日は冗談が好きなようじゃな…」と口走ると、そのまま「ほれ」と手を差し出してき た 条件反射的に手を置くと、そのまま掴まれ、そして 投げ飛ばされたのだった
  • 24. MMRC 会誌 上の空 - 23 - 『その細い体のどこからこんな力が』『なんで投げ飛ばされたんだ』『俺が空を舞っている…』と、尽 きない疑問が走馬灯のような速度で脳内を駆け巡る。 駆け巡ってすぐ、背や手足・臀部に衝撃を感じ我に返る。 そこには、僕の眼前には、先ほどまでの雑木林は影も形もなく、いくつかの家の立ち並ぶ中に田畑 やビニールハウスを持つ、現代の農村と遜色ない景色が広がっていた。 木々が鬱蒼と生い茂る山中からの突然の景色の移り変わりに、呆気にとられ言葉を失っているす ぐ後ろから 「おっ、ここで正解だったようじゃの」と、呑気な京島の声が聞こえてくる。 「いきなり投げ飛ばすことはないんじゃないですかね」と、半ば呆れ半ば怒りながら京島の方を振り 返ると、振り返ろうと周囲に目をやった瞬間、農具や薙刀、ショットガンを手にした者たちに、僕らは包 囲されていた。 「いやぁー…ごめんねぇ京島ちゃん。今日来るってこと忘れててー…」と、親しげに、そしてやや申 し訳なさそうな口調で京島に話しかけている女性――外見年齢は、大体 20 代。長く伸ばした前髪 を、右半分だけ後ろに撫でつけ、後ろ髪と一緒に束ねてアップにするといったエキセントリックな髪型 をしている。片眼鏡をかけ、服装は鳶職がはくようなズボンにチューブトップと言った出で立ち。服の あちこちが煤けている――は“柳島”と名乗り、また京島と旧知の仲であり、年もおおよそ三百を超え ている。と、親切にも京島の後ろで正座している僕に語った。 「この際追及なぞせんよ。お前が来客予定を忘れるも何度目かわからん。今更じゃて」 「京島さん毎回こんな目にあってるんですか…」 「そうじゃ。…それで。頼んでおいたものはできてるのか?」 京島が柳島に問いかけると、柳島は一つ咳払いをして、そして微妙な表情で小さな包みを取り出 した。 「なんじゃその顔はぁ…とんだ駄作でもできたのか」 「できるにはできた!いや、最高傑作と言っても過言ではない出来ですらある!」 「それじゃあ問題はないじゃないか」 そう言って京島は、力説する柳島をみて笑っていたが、包みを解いた瞬間、途端に笑いが止まっ た。 僕は少し身を乗り出して包みの中を見た。そこには三本の包丁があった。 「刀を作ってって話だったけどさ…いつのまにか包丁になってて」
  • 25. MMRC 会誌 上の空 - 24 - 柳島が“こんなもの”と称したもの、出刃・菜切り・麺切りの三本の包丁である。いい素材を使ったと 言うだけあって、また最高傑作と称するだけあって、確かに名店でもお目にかかれない品に見えてく る。しかし、材質は…そう思案していると、呆れた顔で 「またか…」と呟き、ため息をついた。 柳島は半ば土下座の態勢であった。 「察するに…こういうことって今までに何度もあったってこと…ですよね?」と、僕は両者を交互に 見ながら尋ねる 「こやつ、今度はミスリルを無駄遣いしおった」 と、京島はさらりと言う。ミスリルと言えば、トールキンの…要するに、架空のマテリアルではない か。 「また京島さんはさらっと超常的な事を言いましたね…いやもう今更ですけど」 「ミスリルと言ってもモドキじゃよ。こう…魔法の力でな」 そういえば今朝、京島は魔法を使っていたか。とはいえ、そもそも、不死者という時点でもはや魔 法など些末なことに感じられるような―― そうは言っても内心では感嘆し驚嘆し混乱する僕を尻目に、京島は柳島と話し始めた 「はぁ…や、確かに刃物にしろと頼んだのは此方じゃ。うん。依頼通りじゃな。片刃じゃしのう…包 丁であること以外はな?」 「あの…本当にごめんよ京島ちゃん…刀を作っていたはずなんだけどねぇ…?」 と、柳島は首を傾げ実に不思議そうにしているが、対して京島は渋い顔をしている。 深いため息をつき、少し頭を抱えた後、それを見てさらに萎んでいる柳島を見てか見ないか、京 島は口を開いた 「完成してしまっているものは仕方があるまいて…ま、贅沢したと思ってありがたく受け取らせてい ただくかの」 と、苦笑いしながらも三本のミスリル包丁を包み直し手元に寄せると、途端に柳島の表情が明るく、 元に戻っていく。 「いやぁ…でもまさか生きているうちにこんな金属で鍛冶ができるとは思わなかったよ。気分はさな がら、ドワーフといったところかな」 「調子のいいことじゃな。また何ぞ依頼するやもしれんから、その時も頼んだぞ」 「次こそはこんなことのないようにするよ…で、今日はもう一つ話があるんだけど」 と、数秒前の笑顔とは打って変わった真面目な表情で柳島が切り出す。 「向島…は覚えてるかな」 「おお、見つかったのか。消息を絶ってからそろそろ半年じゃな」
  • 26. MMRC 会誌 上の空 - 25 - どうやら尋ね人の話のようだ。京島の知り合いには島の付く名前が多いのか。 「まぁ、見つかったっていうか…」そう言いながら柳島が壁に手を添えくっと押し込むと、忍者屋敷 のようにくるりと壁が回り、磔にされた中年が僕らの前に姿を現した。 「ここにいたんだよね」 「おぉ!よく捉えた柳島!ぐっじょぶ!!」 「えっと…京島さん、この男性は?」 と、僕が中年男性――短く切りそろえた胡麻塩頭を逆立て、やや小さい丸眼鏡をかけた、ジャケ ット・タートルネックのシャツ・ズボンと全身真っ黒な出で立ちをした――おそらく先ほど柳島が言った “向島”という者だろう。 「なぁに馴染みの薬師じゃよ。なぁ?」 「げぇっ?!!??京島!!???!???」 「久方ぶりじゃのう…半年前の依頼はどうなった?ん?」 「材料調達のためにこんなところに来たのが運の尽きだった!!くそ…」 「愚痴は聞いとらん」 「あぁもうわかってる…なかなか材料が見つからないうちに携帯を失くすし、もういいかなって」 「ならいいんじゃがな…お前は死ぬんじゃから、連絡の一つもないと死んだかと思うじゃろうて…ま ったく」 そう京島が言うと、向島も流石に返す言葉もないのか、黙って俯いてしまう。 「生きていたなら今回のことは不問じゃ。で、もう完成したのか?」 「もうできてる。確かズボンの尻ポケットに…」 そう聞くや否や京島と柳島が同時に向島の尻を、尻ポケットをまさぐりだす。と、そこから出てきた のは現代風な錠剤、それもブリスターパック…薬の場合は PTP と言うのだったか、とにかくその入れ 物に入った 10 錠綴りの錠剤であった。 「京島さん、これ、本当にいつぞや言ってた“霊薬”に相当するようなものなんですか?」 と、書庫に帰ってきた僕は京島に尋ねた。 あの後、錠剤を受け取った後だ、向島は拘束を解かれ、僕はそれまでいた部屋を追い出され、
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