羊毛のドメスティケーション

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   τhe 牬楥獴 䙡牭敲猠楮 灥爠䵥獯灯瑡浩愠 䨻 遺丘 女神 ー メソポタミア原始農村 繋明   粍の   ヨン ウ ール の発達 と 紡錘車 現代人の生活において、繊維はもはやなくてはならない原料となっている 。 衣料、インテリアや縄、網な ど身近に自に付くものはいうまでもないが、先端技術を駆使した化学 繊維は、航空   宇 宙材料、電子製品、 フ 。 ラスチック製品、土木   建築の補強材といった産業用資材、さらには IT 技術にも利用されるなど、その用途を広げている 本宮ほか 2 2 。 繊維の利用は先史時代にまでさかのぼることができ る 。 ところが西アジアのみならず;各地の先史時代の 繊維利用者 E 探ることは、考古学においてもっとも困難 な作業のひとつである 。 まず、繊維および繊維製品  㐠 そのものが発見されることは非常にまれだ 。 また繊維 製品の生産   加工に使われる道具はしばしば、あたり に転がっている石ころや木片を場当たり的に利用する ことも多く、仮に発掘で採集されたとしても繊維利用 須藤寛史 た糸で編んだスカートが表現されているという CBarb er   4 。 さらに同じくフランスのラスコ ー 洞窟では 前   年頃のロープが発見されている 。 植物繊維 を紡いだ糸を 2 本撚り合わせ、それをさらに 3 本撚り 合わせたもので、あった 。 実際の繊維製 品 、それも撚り をかけた糸が残っていた最古の例で、ある 。 このように 細かい繊維を撚り合わせて作った糸の出現は、人類の 繊維利用にとって画期的なことである 。 組として利用 できる 天 然素材には、消化管や腿などの動物の身体の 紐状の組織や植物の茎、葉、樹皮などがある 。 これらはすぐに紐として利用できるが、長さに限度があり、 加工の範囲も限られている。一方植物の飾部 養分が 移動する通路 や動物の毛など、 一 つ一つは短く弱い が、これらを束ね、撚り合せると、強く柔軟性のある 糸を自由な太さで無限に作り 出 すことが 出 来る 。 この ような糸を紡績糸と呼ぶが、その 出 現により多様な織物、編み物の生産が可能となり、繊維の用途は格段に 広がったのだ CBarb er ㄹ㤱㨠 9 。 紡績糸の始まりは繊維に関係するものなのか判断が難しいものが多い 。 またのドメスティケ ー ションと呼んでもいいのかもしれない 。 それと気がつかずに記録されないものはさらに多いだ ろ 。 とはいえ、考古学者も黙って手をこまねいてい るばかりではない 。 限られた資料をさまざまな角度か ら研究し、繊維利用の歴史に迫ろうとしている 。 本稿 では繊維、特に羊毛がどのように人類に身近な資源と なったのか、すなわちド、メスティケ ー ションされたのか、 その過程を探っていこう 。 紐の利用は後期旧石器時代には知られていたよう だ 。 それはこの時期に出現する茎部のある尖頭器、小さな穴の聞いた針やビーズなどから推測できる 。 紐で柄に縛りつけたり、穴に細い紐を通したりしたのだろう 。 また、フランス、レスビュ ー グ、 CLespugue で発見され た前 2  年ころのヴ イ ー ナス像には、撚りを加え 西アジア先史時代における繊維 亜麻と羊毛 先史時代の西アジアおよび旧大陸では亜麻と羊毛 が主な繊維の原料であった CBarb er 1991   g   8   。 亜麻は現在でも、植物性の繊維としては綿に次いで よく利用されている繊維原料である。亜麻を原料とする織物をリネンあるいはリンネルと呼ぶが   こちらの ほうが馴染み深いかもしれない 。 亜麻の種子の遺存 体は新石器時代以降、銅石器時代にかけて西アジア 全域でたびたび発見されている 。 ただし繊維だけでな く油の原料としても利用されていたので、種子が確認 されたからといって直ちに繊維利用に結びつけることはできない 。 繊維として利用された最古の証拠は前 7 千年紀、先土器新石器時代 BCPPNB 期に遡る 。 イ スラエルのナハル   ヘマルという祭杷遺跡で多数の縄  jiiiii ; や編み物が発見され、亜麻を原料としていたととが分 かった CSc hick1988 。 以降、前 3 千年紀までは西ア ジ、アで、主要な繊維原料であった 。 亜麻を繊維として 利用するにはとても手聞がかかる CBarber ㄹ㤱㨠ㄳ 㬠䵣䍯牲楳瑯渠 㜺 522 523 。 まず亜麻を栽培し、収 穫しなければならない 。 その後、 薬や種子を 削ぎ落と す 。 残った茎を 1 ・ 2 週間水に 浸 し硬い木 質部を腐敗 させる 。 水から取り上げ、数日乾燥させる 。 乾いた繊維を今度は木の棒などで叩き、残った不要部分を砕き取り除く作業を何度か繰り返 1 九乙うして抽出した飾部を最後に杭きほぐし、ようやく繊維原料となる 。 多 数の工程を経る作業である 。 木質部を砕くための木の 棒と、続きほぐしに用いられたと思われる植物のとげ を多数埋め込んだ木製の板がスイスの新石器時代遺 跡、で、発見されている C Barber ㄹ㤱㨠䙩朮 2 。 これらは、 考古遺物としては特殊な条件でしか発見されない。こ うして得られた繊維は非常に長く l m 以上になる 、表 面がなめらかで光沢があり、巻縮が少ない 。 したがっ て後述のウールより紡ぎ合わせにくく、染色しにくいが、 亜麻糸で織ったリネンは通気性もよく肌触りがよいのは周知のとおりである 。 古代エジプトでは衣類やミイ ラをくるむ布として長い間盛んに生産 ・ 利用された 。 一 方羊毛であるが、今日では羊毛および羊毛製品 全般をウ ール  woo l と呼ぶことが一般的である。し かしウールは本来、動物の柔らかく細い下毛を指す 言 葉である C Ryder ㄹ㤳㬠䉡牢敲 ㄹ㤱㨠 22 。 これをフ リース C fleece ともいう 。 ヒツジ 、 ・ ヤギの身体を覆う毛 は、太さや柔軟性の異なる 3 種類の繊維で構成され ている 図 1 䍂慲扥爠ㄹ㤱㨠㈱㬠 敲 ㄹ ㌺ 0 。 死毛 Ckemp は枯死した不良羊毛で、太く柔軟性が無いた め紡績や染色には適さない 。 獣毛 Chair は死毛より細 く比較的利用しやすいが、範囲は限られる 。 野生ヒツ ジの体毛はこうした粗い毛が長く発達していた 。 初期 の家畜種においても 同 様で、あったと考えられる 。 ウー ルは本来獣毛 ・ 死毛より短かかったため、野生および Lo 刈,   一一 ω 由主 t tlO.U :S 而も ι 刷必 p 附oL-一 家畜化初期の段階では、生えかわりの季節以外表面 に現れることはなか った 。 ウールは前二者に 比べ ー殴 と細く、柔軟性 ・ 伸縮性 ・ 巻縮度に富み、表面が鱗状 に毛羽立っている 。 したがって個々の繊維は 短し 、 数セ ンチ が相互に絡みやすい特性を持つ CBarber ㄹ㤱㨠 20 。 そのためフェルトや紡績糸 毛糸 の原料として最適の繊維となる 。 現在牧場で 見 られるフカフカのヒ ツジは、死 毛や獣毛を 少なくし、ウールをよく発達させるために改良された品種なのである 。 羊毛を繊維原 料として利用するのは亜麻に比べて大分少ない工程で 済む  Mc or ri ston ㄹ 㜺 22 523 。 まずはヒツジを 飼育し、毛を刈り取る 。 現在は金属製の大きな毛刈 パサミで刈り取っているが CW ulff ㄹ㘶㬠坡瑳 渠ㄹ㜹㬠 佣桳敮獣桬慧敲 199 3 、これが導入されたのは鉄器時 代以降のことで 、あった 。 ライターは、金属が 実用化さ 〹㔠 れたことの他に、この頃になってウールを発達させた 品種のヒツジが確 立 し、毛の自然脱落性が失われ、恒 常的にウ ールが身体を覆うようになったことを、毛メ   パサミ導入の理由として挙げている CRy d er 1993   14 。 後述するように青銅器時代以前にもウ ー ル ・ タイプの ヒツジは成立 していたようだが、その頃の毛刈は春の生え変わりの季節に摘み取っていたものと思われる 。 そうすることで死毛や獣毛の混入を防げるという利点 がある CBarber ㄹ㤱㨠 29 。 土器新石器時代から銅石器 時代にかけて、平たい半円形の特徴的な石器が見られ る 。 タビュラー・スクレイパ ー と呼ばれるこの石器は動 物の解体用ナイフ CRosen   㜺 4 75 や毛の摘み取 り具 CHenry ㄹ㤵㨠 372 373; 安倍 2002 などの機能が 想定されている 。 摘み 刈り 取られたウ ー ルは汚れや 脂分を取り除くために水洗いされる 。 摘み 刈り 取る 前に、   で、ヒツジ、ご、と洗ってしまう例も民族誌で知ら れている C 佣桳敮獣桬慧敲 1993   。 あとは乾いたウー ルを櫛で整え、残ったゴ、ミを取り除けばいつでも加工 できる状態になる 。 図 1 羊毛の構成   Ryder  ㌺ ⸲  ウールのドメスティケーション ところでヒツジやヤギが家畜化されたのは前   千年ころとされている 。 動物の家畜化は肉資源を安定 して調達するというのが当初の目的であり、毛やミルク、あるいは使役動物としての利用、すなわち二次産 物 Csecondarypro du ction 利用は 家畜 化されてから数 千年経た前う千年紀以降に開発されたと 言 われてい る CSherratt  98 983 。 一方、これら 二 次産物のほ うが家畜化の本来の目的だ、ったのではないかという意 見もある 。 ヒツジやヤギは多産な動物ではなく、年 1   2 頭しか子供を生まない 。 したがって初期段階の家畜 化は肉 資源の確保 という目的には不十 分で あった とい うのだ 三宅   996   999 。 毛やミルクなど家畜を殺 さなくても再生産される資源は家畜化以前から認識さ 質のウ ー ルが豊富に得られるからである 。 肉、乳利用 を回的とする場合、去勢雄は見られないので毛利用の重要な基準となる C Barber  ㄺ 26 27   T 1 1 。 た だし考古学的に去勢オスの存在を確認することは難し い 。 またヤギ、はウールを発達させなかったので、毛利 用の場合ヤギよりヒツジの割合が高くなることも基準 となる CRedding  984 。 ちなみに肉利用を目的とする 群れでは柔らかい肉の採れる仔羊 ラム か、たくさんの肉が採れる若い成獣の比率が高いとされている 。 イ ランのケルマーンシャーやフジスターンにおける動物 骨の分析によると、羊毛の利用が重要性を帯びるのは 前 5 千 年紀、銅石器時 代からであるという 結果が示 されている CDavis   9 1Geenf  998 。 こ れが 直ちに毛 利用の開始時期を 示す というわけではな  㘠 れていたととは充分想定できるので、その利用が従来い。おそらくそれ以前から徐々に二次産物への需要が考えられていたよりも遡る可能性はある。前 6 千年紀 後半のトルコで器壁に多数の孔が穿たれた土器が見ら れる 。三 宅はこれをチーズ製造の過程で、水分 乳疑 を分離させるための容器ではないかと注目している 三 宅  996 。 もしそうだとすると、少なくとも前 6 千年 紀後半には乳製品の加工が行われていたことになる 。 毛の利用についてはその証拠が確 実になるのは前 5 千年紀、銅石器時代以降である 。 ヒツジ   ヤギのミル クや毛利用の開始を探るには、動物考古学の果たす 役割が大きい。動物考古学とは遺跡から出土した骨を 一片一片観察し、動物の種類や骨の部位、性 別、屠 られた季節などを同定し、統計的な分析から当時の動 物資源の利用方法を研究する分野である 。 ミルク   毛 利用については、試料の年齢構成、ヒツ ジ .ヤギの比 率が主な基準 となる 。 ペインは家畜利用の目的を肉、 乳、毛の 3 種に設定し、それぞれの家畜の群れにお ける理想的な年齢構成をモデルとして提示した CPay n e   973 。 それによると毛やミルク利用を目的とする群れでは、雄も雌も成獣が多くなる 。 特に毛利用に関し ては去勢された雄が存在する 。 去勢雄ヒツジからは良 高まってきたのだろう 。 前   千年紀には羊毛利用の傾 向が強く 表 れた動物遺存体の統計デ ー タが各地で頻 繁に見られるようになる CMcCorriston ㄹ㤷㨠 52 。 ところで家畜化開始期以降、ウールの有用性はどれ ほど認識されていたのだろうか 。 先述の通り、野生あ るいは家畜化初期段階のヒツジでは、繊維原料とし て便利なウールは、死毛や獣毛の下に隠れており、生 え変わりの時期にしカ、表面に現れなかった 。 したがっ てヒツジの 家畜 化が始まった新石器時代の人々は、柔 らかなウールを目にする機会が少なく、繊維原料とし ての利用度が低かった可能性がある 。 現在見られる ような体毛がすべてウ ー ル状の柔らかい毛に 発達 した ヒツジをウ ー ル   タイプのヒツジ、と呼ぶが、その最古 の証拠としてよく引き合いに出されるのがイラン西部 のテペ   サラブ遺跡で出土した前う,   年頃の動物 土偶である 。 胴体に   字の刻文が連続して刻まれてお り ウ ー ル特有の縮毛を 表現しているとされる CRyder ㄹ㤳㨠 。 しかしこれだけでは証拠として不十分 だ 。 ライターが示したモデルでは、青銅器時代に獣毛 あるいは死毛が細くなった品種が出現し、鉄器時代に  紡錘車紡ぎ終えた 繊維 紡錘 䌠 䐠䔠 図 3 なってようやくウ ール   タイプのヒツジが出現するとい う  Ry d er ㄹ 朮 3 。 西アジアでは前   千年紀末 頃から文字 が使用され始めるが 前 3 年頃の粘土 板文 書にウール   タイプのヒツジが明確に区別されて いる  Green   98 0   。 青銅器時代には意図的にウール   タイプのヒツジを利用していたことがわかる 。 現在のところ前う,   年を遡るウ ー ル利用の明確な 証拠はない 。 それ以前にウ ー ルがまったく利用されていなかったことを意味するわけではないが 前う,   年以降 特に前   千年紀以降ウール利用の証拠が増 えることは ライダ ーのモデルのようにウール   タイプのヒツジが徐々に発達していった様相を反映している のではないだろうか 。 前 3   0   年頃に文字記録として   ール   タイプのヒツジが記述されているということは 前   千年紀にはそれがかなり普及していたと考えてよ いだろう 。 前 2 千年紀の粘土板文 書 には ウール 製品 がメソポタミアの重要な輸 出 品であったことが記されて いる 。 アルガゼはそのような状況が前 4 千年紀 ウル ク文化の拡散現象においてもありえたと主張している 図 2 吊下げ紡ぎ   Keith 1998   Fig   3 を改変   図 3 シリア セクル   アル ・ へイマル村での糸紡ぎ  汧 199 3 。 では それ以前 前 5 千年紀におい てはどのような状況であったのだろうか 。 紡錘車筆者はかつ てシリアとイラクの前う千年紀の遺跡から出土した紡錘車を分析し 当時の繊維利用について 検討した 須藤 2   ; 卵摯 3   6   。 紡錘車は細かい繊維を撚り合わせて糸に紡ぐ道具の 一部である 。 先史時代の繊維加工を示す数少ない証拠のひとつで ある 。 現代では木製のものがよく見られるが 先史遺 跡 からは土製   石製のものが多く出土する 。 繊維を紡ぐのに最も単純な方法は 片手で原料となる繊維の塊を掴み もう一方の手でその塊から適当な 量の繊維を引き出し 指先で ねじったり膝の上で転が すというものである 。 さらに効率を上げるのは 紡錘 車を取り付けた紡錘を空 中に ぶら下げ回転を与え そ の 重みと回転で繊維を塊から引き出すと同時に撚りを 加える吊下げ紡ぎ  drop-spinning   という方法である  図 2   3 。 このとき 紡錘に繊維を引き出す重さを与 〹㜠
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